よしかわ杜氏の郷通信

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 ロハスな農村・よしかわの自然は、毎日違った表情を見せてくれます。
 私たちはそんな移り変わる自然の姿を目にしては、喜んだり悲しんだり…自然と喜怒哀楽を共にする暮らしをしています。
 そんなよしかわの姿をほんの少しですが紹介していきたいと思います。
 お気に召しましたら「よしかわ」に一度遊びにきてください。

8〜9月のよしかわのお米。順調に登熟、稲刈りも間近です。

〈8月〉台風一過、コシヒカリが開花しました。

台風一過の頃、コシヒカリが開花しました。8月11日から12日にかけて新潟をかすめて秋田に上陸した台風12号。この酷暑のため稲が背が高く生長しすぎてしまっていた東北や北海道では大分被害が出たようです。

台風は米農家には大きな脅威。強風のため稲や籾が痛んだり、倒伏したり、あるいはフェーン現象による乾いた風のために稲穂の水分が奪われてしまうなど、お米の品質や収量に大きな影響を与えることがあるからです。また特に日本海側では台風が海水を巻き上げて田に降らせ「塩風害」が発生することもあります。最近では04年、佐渡で台風による塩風害が起こって大不作になるということがあったばかり。

コシヒカリの花コシヒカリの花よしかわではこのころちょうどコシヒカリの出穂直前。出穂時に風雨を受けると、受粉が進まなくなることがあるので、台風の動きには胃が痛くなるほど心配でしたが、丈が短く頑丈に育った稲は風雨に耐え、台風の通過直後に無事に出穂、そして開花を迎えることができました。

写真はコシヒカリの花。出穂、開花が始まったのは8月14日頃からです。「稲の花」というのはとても地味で、花びらはなく、もみが縦に割れて(「えい」といいます)、その中から白いおしべが飛び出してくるだけ。写真にある、一見、白い花に見えるものが「おしべ」です。出穂するとすぐにもみが開き、おしべ6本とめしべ1本が出てきます。

稲の益虫クモの巣稲に花らしい花がないのは、受粉を虫や風に頼らない、自家受粉だから。開花前後の短い時間の間におしべの花粉袋が開いて受粉が行われ、受粉が終わるとほどなく「もみ」は閉じてしまい、2度と開きません。ですから稲の花が見られるのは午前中の9時から12時ごろまでの間、たったの2〜3時間ほどに過ぎません。写真上の右は、もみが開いて受粉しているところ。左側のもみに注目してください。

もみが2つに割れるように上に向かって口を開けたところを捉えることができました。これが受粉の瞬間です。もみは熱と光によってぱっくりと開きますが、このとき、もみの中に収まっていたおしべが、もみが開く反動で、しなるようにはじかれます。はじかれたおしべには花粉袋(写真の中の「じゅんさい」のような形の白い物体)がついていますが、この花粉袋は、はじかれた勢いで先端が破け、花粉を飛散させます。この花粉が同じ稲穂の中にあるめしべに受粉するのです。この後、まもなく口を閉じます。

もみの中では受粉した翌日から胚が生長を始め、ほどなく、稲は頭を垂れ始めます。コシヒカリはこれからほぼ1ヶ月かけて実(米粒)を充実させていきます。いよいよ登熟期、というわけです。田んぼのクモ君たちも元気に害虫を食べて、美味しいお米作りをサポートしてくれています。

 

〈9月〉よしかわのお米は順調に登熟中、稲刈りも間近です。

山田錦の圃場 撮影:9月13日今年は7月20日頃から猛烈な日照が続き、連日35度を超える猛暑日でした。こんな夏にはふつう夕立があるものですが、それも皆無。9月上旬までに雨が降ったのはわずか2日くらいでしょうか。それもごく少量の降雨でした。こんな年は記憶にありません。

写真右は大賀地区の山田錦の圃場9月13日に撮影したもの。
しかし9月8日、大風の接近に伴ってようやくまとまった雨が降りました。稲穂が出てからは比較的水を必要とする時期です。ここで日照りが続くと、米がうまく生長できず、収穫量や品質に大きな影響が出ます。稲作にとって台風は大敵ですが、今回ばかりは助けられた気分ですね。

コシヒカリの圃場。こちらはコシヒカリの圃場。先ほどの山田錦も、コシヒカリも、台風に伴う大雨にも稲倒伏することなく、しっかり立っています。これは、稲の背丈が短く、茎が太く、実の数も適量だからです。この位ピンとしていれば、台風が来ても大丈夫。刈り取りまで健康に育つでしょう。

一方、右の写真は残念ながら倒伏してしまった稲。
倒伏してしまった稲同じ地域ですが一般栽培の稲のため、永田農法栽培のものに比べ丈が長く、茎は細く、実の数も多くなってしまっていました。その結果、風雨を受けて倒れてしまったのです。稲が倒れるということは、茎が曲がり、地面からの栄養や水分が実に行き渡りづらくなるということです。このようになると米が未熟のまま収穫を迎える可能性があります。しいな米(籾殻だけで中身の無い米)、死米(しにまい)(澱粉集積度が30〜60%で停止した米)、死青米(しにあおまい)、未熟米(澱粉集積度が60〜90%)などは倒伏によって発生することが多いのです。

茎が曲がっているだけならまだしも、台風などで茎が折れると、完全に導管(植物の体で根から吸収した水分やイオンをが全身に行き渡らせる管。動物の動脈に相当します。)が断たれてしまいます。こうなると、今までの苦労が全て水の泡ですね。だから、まず第一に倒れにくい稲を育てること。これが永田農法の基本であり極意なのです。倒伏した田んぼの景色は皆さんもどこかで見たことがあると思います。気候や肥料の与えすぎの影響で稲の丈が長くなりすぎたり倒伏したりすることは、消費者の方も、生産者の多くも、当然避けられないことと思っている方が多いのですが、実は植物に対する知識と技術と、そして手間を掛ければ、避けられることなのです。美味しい作物を作るために、植物が理想的な生育状態になるようにコントロールする。そんな農業が永田農法なのです。

稲永田農法の特徴は穂を見てもおわかりいただけます。
永田農法では、一穂に付ける実の数(1穂籾数)は、100粒が理想。この写真がまさにその状態です。穂の先まできれいに粒が揃い、しいな米・死米・未熟米などの屑米は全くありません。穂は先端から熟し始めますが、あまり実をつけすぎると、
元(下)のほうが完熟できず、しいな米ばかりになってしまいます。多すぎず、少なすぎず、付けた実は全てがきれいに完熟する。これも永田農法農家の腕のみせどころです。
ちなみにこの田んぼはあと数日で刈り取りの予定。最後の最後まで稲を枯らさずに実を熟成させていくのも永田農法ならでは。この稲も糖度が最高の状態で収穫できそうです。

 

よしかわ狸の秋支度

よしかわ狸の秋支度山間部の大賀地区のコシヒカリ圃場で、狸を見かけました。絵本やマンガに出てくる狸よりずいぶんとスリムに見えます。

そう、すらっとしているのが夏の狸の特徴。秋になると冬に備えてたくさん餌を食べて脂肪を蓄え体重は1.5倍にもなり、よしかわのような積雪の多い寒冷地では、長い冬毛を生やします。ずんぐり丸っこいイメージは、冬の姿なのです。

狸は夜行性の動物で、森の中に暮らし、夜中に自分の餌場を巡回して、ネズミやカエル、鳥や鳥の卵、川の魚や昆虫などの小動物や、果実などを食べます。だから、夜道を運転していると、突然目の前を横切ることもしばしば。

この狸が昼日中に餌を求めて森から出てきたのは、冬に向けてたくさん食べておく必要があるからでしょう。まだまだ暑い日が多いですが、秋は確実にやってきています。

よしかわ産のお米が皆様のお口に入るまであともう少し。今年のよしかわ産「新米」楽しみにしていてください。

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