さいの神のお祭り
↑「よしかわ杜氏の郷」に隣接する「長峰集落」の“さいのかみ”。点火直後の光景。
1月10日の日曜日、よしかわの各集落では、《さいの神》が行われました。
《さいの神》は竹の骨組みを中心に藁や大豆の殻など積み上げて塔のようにしたもの。
昨年使った注連縄や今年の書初めなども一緒に巻き付けます。これを積み上げるのが一苦労なのですが、組み上げた「さいの神」を燃やすのが、お祭りの本番になるわけです。「さいの神」は火祭りなのです。
年男や年女がこれに火をつけます。乾いた藁や竹ですから相当な火力。火も煙も、初めてみた人は驚くほど高く立ち昇ります。皆でこの火を囲んで暖をとりつつ振る舞いの甘酒やお酒などを飲みながら熾火になるまで待ち、竹竿の先に餅やするめをさしてあぶって食べます。最後に、残った藁や竹の炭を顔になすりつけ、その年の健康を祈ります。
この《さいの神》は、全国の農村のどこでも同じような形で行われていたようで、地方によって「どんど焼き」とか「左義長(さぎちょう)」とも呼ばれているそうです。火事の危険から禁止される所が多く、そのままの形で残っているのは、広い田圃と雪のある地域だからこそなのでしょう。長い間この行事は1月15日の小正月に行われてきましたが、休日法の改正以降で15日が祝日ではなくなり、本来の日からずらして実施しています。
このお祭りは地方によっては年神を送る、という意味があるとも言いますが、よしかわで誰でも「さいの神は《五穀豊穣と健康祈願》」だと思っています。
たしかに稲藁を燃やして天に返す光景を見ると、「天に帰った穀物が、今年もまた地上に戻ってきて欲しい」という気持ちが実感されるのです。また、藁を燃やすのは「害虫や害菌を殺す」とか、「農業に必要な藁灰を作る」など、実際的な意味もあるように思えてしまいます。
昔の人の知恵はすごいもので、今の知識では考えも及ばない沢山の大事なことが、一つの習慣や言い伝えに含まれていたりします。この「さいの神」もそうした智恵の一つなのかもしれません。
→長峰集落の“さいのかみ”。年寄りから子供まで、皆でさいのかみが燃え尽きるのを見つめます。
よしかわ各地にこんな行事が残っており、古来から変わらない、農家の人々の自然への祈りの気持ちや先人の知恵が子供達に伝わっていくということは、ありがたいことです。
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