五百万石の水田(片田地区)バックには霊峰・尾神岳。すっかり秋らしい雲がたなびいています。
右の写真は7月20日に開花した「稲の花」です。
「稲の花」をご覧になったことのある方はあまり多くないかもしれません。稲の穂の籾一粒づつが花になっており、そこから小さな白い雄蕊が現れます。この状態は1〜2時間しか続かず、すぐに閉じてしまうのです開花の時期は例年より遅くなっていますが、これも良い酒米を作るため。一番暑い時期の後に登熟(米をしっかり成熟させること)させるのが、良いお米作りの勘所。年々遅くなる暑さのピークに合わせて、苗作りや田植えの時期も遅くしているのです。永田農法で栽培することによって、糖度が高く、雑味の原因となる蛋白質が少なく、また、適度な大きさの心白と精米や麹作りに最適な硬さを持つ酒米ができ、それがお酒の質に反映するのです。
五百万石の稲穂 見事な充実振りを見せています。
そして、稲は登熟の時期の真っ只中です。登熟とは、開花・受精後に子実が成長していくこと。要するにお米粒が出来てから熟すまでの過程です。よしかわの8月は登熟には絶好の気候となり、五百万石はこのうえないほど順調な成育を見せています。完熟状態を100とすると、現在はちょうど半分の50といったところでしょうか。まだ籾の中は糊のように柔らかい状態です。
ところで良いお米のできる登熟期の気候条件は、
1)日照が多いこと、2)気温の寒暖差(日較差)が大きいことです。日照が多く(雨が少なく)、寒暖差が大きいと、夜間の稲の呼吸が抑えられて米粒が充実し、収量が多くなり、また、澱粉が充分に蓄積されて糖度が高くなるのです。
よしかわでは、このところ日中は30度を越えることがありますが、夜間から朝にかけては非常に涼しく(大きい寒暖差)、寝苦しい日は殆どないほどで、雨も少なく、登熟にはうってつけの気候だったのです。この時期の稲の管理は、水田に水を入れるタイミングが、根の活力を維持する上でとても重要なのですが、降雨も、稲が水を欲しがっている時にちょうど降ってくれる、といった具合。稲にとってこれほどの好気象はめったにありません。これからは台風の影響が心配な時期になりますが、それさえ大丈夫なら、近年最高品質の酒米が出来そうです。
※新潟の酒米の代表格は「五百万石」。よしかわは県内でも最大の生産地で、古くから県内や県外の有名蔵元に出荷しています。よしかわ杜氏の郷でも「天恵楽 特別純米」「にごり酒」など、多くのお酒に使用しています。 |