よしかわ杜氏の郷通信

 よしかわ杜氏の郷のトップページよしかわ杜氏の郷通信トップ  6≫2006年11月27日

 ロハスな農村・よしかわの自然は、毎日違った表情を見せてくれます。
 私たちはそんな移り変わる自然の姿を目にしては、喜んだり悲しんだり…自然と喜怒哀楽を共にする暮らしをしています。
 そんなよしかわの姿をほんの少しですが紹介していきたいと思います。
 お気に召しましたら「よしかわ」に一度遊びにきてください。

▽11月27日取材
よしかわでは、秋から冬への移り変わりはあっという間です。ブナやクヌギなど雑木の森独特の赤・黄・オレンジ・ベージュ色等々カラフルな紅葉に目を楽しませたのもつかの間、高い山の上の方では、もう木々は葉を落として裸の枝を寒い風にさらしています。

そんな冬の初めに、よしかわでは田圃に水を入れます。正式には冬季潅水、最近は冬水田圃とも呼ばれるようですが、この時期田圃に水を入れることによって、田圃の中に生えた雑草や残った稲の根、舞い落ちてきた落ち葉などの、微生物による分解が早く進むようになるのです。これから田圃の上には2〜3メートルの雪が降り積もりますが、雪の下では、微生物が来年の稲のための土作りをしてくれるわけです。冬季潅水は自然と共生する昔からの農民の知恵。よしかわではそれが、絶えることなく今も生きているのです。

冬季潅水をした田圃では、春に水を入れるととオタマジャクシやメダカ、ゲンゴロウやタニシ、川エビ、ヤゴなどが自然に生まれてきます。冬の間、土の中で寒さを耐えてきた生き物たちです。厳しいよしかわの冬の雪の下の土の中では、微生物だけでなく沢山の生き物達が、春を目指して必至に生命の営みを続けているのです。

夜昼なく酒造りに追われる私達の冬ですが、水を張った冬の田圃を見るたびに、雪の下の生き物達に負けないよう頑張りたいと、思いを新たにします。


冬季潅水で溜池が空になると、底に溜まった泥をさらいます。
溜池の中では、鯉や鮒、泥鰌、川エビや、よしかわでは「ツブ」と呼ばれる大きなタニシ、淡水性のカラス貝、カエルなどたくさんの生き物が暮らしていますが、鮒は増えすぎると溜池の壁を突いて穴を開けてしまうので、水を抜いた後に、捕ってしまいます。鮒や鯉、タニシや川エビを、美味しい惣菜やお酒のつまみとして頂くのも、冬の楽しみです。

子供達は溜池の生き物に大喜び。大はしゃぎで鮒たちを捕まえています。


紅葉が映える、よしかわ大賀地区の棚田。冬先に水を張った田圃では、落ち葉や雑草などの腐敗が速く進み、それが翌年の稲のための肥料になります。


写真はよしかわ随一の篤農家Nさんの田圃です。
Nさんの家では、溜池から水を落として田圃に水を張ります。


田圃に吹き寄せられた落ち葉。
冬季潅水後、雪の下で微生物によって分解され、
やがて春には、稲を養う土に変身しています。

 

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